<ビジネスでの先につながる別れ方>  馬渡 惇 

 

我々はビジネスの世界で色々な事を経験します。そして皆さんの面白いと感じられる事が多く有ると思います。人それぞれの受け取り方は様々と思いますが、私がなるほどと感じた事例がありますので紹介したいと思います。

 

私は2001年頃、電子部品メーカで、ある部品の部門の製造と販売の責任者として、海外ビジネスを含め新規顧客の開拓、既存顧客の販売継続等を担当していました。

 

そのころ、オランダの大手の会社にその部品を納入していましたが、私たちの部品は国際競争が厳しく、そのために価格下落が非常に激しい商品に使われていて、私たちにもそのオランダ大手から四半期毎に厳しいコストダウン要請が来ていました。

 

先方の購買責任者と、何度も厳しい折衝を長時間にわたり行いました。私も会社の事業を考えたギリギリの価格を提示しましたが、結果は私たちの力不足もありオランダ大手の要請に応じることが出来なく、ビジネスは終了となりました。

 

先方の購買責任者から「あなたもベストを尽くしてくれたと思うが、我々の目標価格には行けなかった。非常に残念ですがビジネスは続けられない。残念です。」と話があり、こちらも「申し訳ありませんと・・・」

 

そうすると、最後に彼は思いがけない言葉を私にしました。「今度また何かの縁でビジネスをするときには是非あなたとしたい」と・・・

 

この言葉は、私をホットさせましたが、「今度また何かの縁でビジネスをするときには是非あなたとしたい」この言葉は外交辞令だったかもしれないと思いながらも心に残る一言として、今も生きています。

 

このオランダの大手とのビジネスは双方の会社の事情をギリギリ考えた交渉の結果、不成立になりました。しかし将来、お互いに違う会社に務めていて偶然に会うかも知れず、個人対個人の関係を先々に向けて構築していく事は、グローバル・ビジネスにとっても、その部品の売り手・買い手としても、重要なことです。個人レベルでも将来フランクにコンタクトが取れる関係を構築していく、これがオランダのグローバル主義が発達し貿易が盛んになっている礎を作っている一因かと感心しました。

 

国対国、会社対会社の関係ではなく、個人対個人の人間関係にしてネットワークを広げグローバル化に対応できる関係をつくり、これを継続していくことは、非常に重要だと思います。

 

これからは、若い世代が早くからグローバル・ビジネスに携わっていくことが一層増えるでしょう。ビジネスをする中で先につながる終わり方をすることは非常に重要だと思います。